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もういい加減キレようかなーどうしようかな、と思った。こういうとき頭で考えると悪い方向にしか行かないのは経験的にまあ、間違いない。数年ぶりに煙草を一箱買って、吸ってみた。懐かしい味だ。学生の頃を思い出して、悔しいけれど少し、心が安らいだ。毒…

2010/05/28

欧州旅行と友人の結婚式という、私の単調な人生においてはかなり大きなイベントがふたつ、終わって、気が抜けたのか疲れが出たのか、頭の隅っこにかすかに興奮が残っているせいなのか、変な時間に泥のように眠っては、夜しかるべき時に眠れないという日々が…

異性に関する見解、及び主張

男というやつは ずるい。 浮気もできるし おじいちゃんにもなれる。 「人間のうちで、一ばんロマンチックな種族は老人である、ということがわかったの。老婆は、だめ。おじいさんで無くちゃ、だめ。おじいさんが、こう、縁側にじっとして坐っていると、もう…

今夜の西大通りは水浸し あたしの心と同じ

メランコリー・オブ・ジャパニーズ・オーエル

会社でひとり、年賀状の宛て名書きをしている。正確には、年賀状ソフトで住所録をつくっている。これで来年はラクそうだ。来年の今頃あたしはこの会社にはいないけれど。 うちが年賀状を送る先は在日の人が多い。だから名前が変換できない漢字ばかりで構成さ…

細江英公人間写真展―「抱擁」と「薔薇刑」

土曜日。ひどい夢を見た。恋人が私の体に触れると、彼の体の粘膜という粘膜がすべて赤く爛れて腫れてしまうことになって、私はもう二度とこの人に触れることができないのだと知って絶望するという内容だった。正夢にならなければいいと思ったが、妙に現実的…

記憶、渋谷。

某バンドのポスターを部屋の壁に貼っていた友人が、そのバンドのヴォーカルの顔が当時私が付き合っていた男に似ていると言った。あ、ほんとだー似てるーと笑いながらその部屋で安い酒を飲んだ日々。そのヴォーカリストが端役で出ていた映画。市川実日子がグ…

煙草

部屋の中が寒い。吐く息が白い。はあっと深くではなく、ふーっと細く息を吐き出してみる。私は指を二本立てて唇に当て、少し離してからもう一度、ふーっと細く吐く。すると冷たい息の筋が、煙草の煙に見えた。久しく煙草は吸っていない。もう一度、同じ仕草…

夢の匂い、現の匂い。

生まれて初めてインフルエンザの予防接種をしたら、翌日は酷い目に遭った。すごく体がだるくて、立っているのが辛い。熱はないが、昼食の準備の為にちょっと鍋を振ったら息が切れた。仕事はどうにかなると思ってベッドに臥伏した土曜日。注射を打った所は5c…

精神感応

きっかり11ヶ月前の日記です。 - たとえばアンテナのようなものがあって、周波数が合う人の思考がリアルタイムで分かったりする。近しい友人やきょうだいと、同時に同じことを考えたり、同じ歌をうたったりするとか。好きな人が寝込んでいるビジョンが脳裏に…

How does it feel?

「泊まっていってください。」 という懇願を振り切って帰宅すると、母が『風に吹かれて』を聴きながら夕食の仕度をしていた。私は驚き、一体どういう訳かと台所の隅を見やると、そこには災害時用の、懐中電灯とラジオが一体化したものがあり、『風に吹かれて…

栽培

高速道路のジャンクション。北に向かう道路に入るとき、左に光の畑が見えた。その場所は道路からだいぶ離れており、木が視界を遮るので車の中から見えるのは一瞬だ。周りには何もなく(もしかしたら田畑なのかもしれないが、暗くていつもよく見えない)、そ…

夢(眠っているときにみる方の)

(亀入り箱の宅配便を目撃した女、その後。) 猛暑は過ぎたが残暑が厳しい。タンクトップを着て百貨店に入ると、キンキンに冷えた店内にはファー付きのコートやウールのニットが陳列されている。「これはこれは不健康な。」女は思わず声に出した。急激に肩や…

資産家家族の憂鬱

曇り空はエディンバラの気分。 家の中はしっちゃかめっちゃか。 おとうさんはアル中で、 おかあさんは発狂寸前なんだって。 あたしはヘッドホンをしてすこし踊る。 おなかが痛い気がするけど無視する。 こんなことしてる場合じゃないや。 もっと覚えなきゃ …

雨と川

雨は埃の匂いがする。 生乾きの洗濯物はいやだけど、 雨の匂いはきらいじゃない。 なんでだろう、眠くなる。 いま降っているこの水は、 やはり汚れているんだろうなあ。 だけどここから少し、車で行くと 川にはメダカがたくさん住んでる。 あれけっこう感激…

女はいつも通り、荷物を受け取りにやってきた。彼女は誰にも自分の住所を教えず、小包はもちろん葉書一枚でさえ、郵便局や宅配便の営業所に留め置くよう指示していた。そこの営業所はいつも殺風景であちこち埃をかぶっており、その灰色の室内に女性社員の化…

カメラ

目の前で食事を口に運ぶ男に対し、女は思っていた。この人が死んだら私はどうなるだろう。 そしてすぐに、誰かに対してそんな考えを持つのは初めてだと気づいた。寂しいとか、生活に困るとか、そんな表層的な、物質的な、普遍的過ぎることはさておき、たとえ…

麦藁帽子

小学校の夏休み。お盆を過ぎたあたりに登校日があって、その日を期限に定められた分の宿題を持って行った。荷物が少ないのでランドセルの必要はなく、各自好きな鞄を持って行ってよいことになっていた。服も私服だったかもしれないけれど、よく覚えていない…

法蓮草

何万回も繰り返していることをつい、忘れてしまうことがある。小学生レベルの漢字とか、ものや人の名前とか。いわゆる度忘れというやつ。 法蓮草を茹でる段に突然やってきた度忘れ、「お湯に塩を入れるんだっけ?」。青い野菜を茹でるのに塩を入れると色が鮮…

 皮膚

中指のささくれを剥いだ。2mm×10mmくらいの、それなりに大きな皮切れを、机の上に置いた。ちっとも痛くなかった。 5分ほどしてから、机に置いたそれを捨てようとして手に取ると、驚くほど乾燥していて剥がした直後とは形も色も変化していた。こたつの上に置…

哲学

絶望する前に、車に乗り込んだ。台風の後にしては天気が良くなかった。ひたすら真っ直ぐ走ろうと思ったのは、哀しみが増してきたからだ。振り切るのに必要なのは目的地ではなく、単純に距離と速度のはずだった。 しかしどこまで行ってもこの、どうしようもな…