Concrete Jungle

 地下鉄の駅から地上に上がったときに感じる焦げるような暑さ(熱さ)は都会特有のもので、それに慣れない田舎者の私は、いつも少し歩いただけで消耗してしまう。昨日も同様だったので、某ヒルズにある某インテリアショップが運営するカフェで、ランチと一緒にギネスを頼んだ。私は一人で昼食どきに飲むビールが好きだ。乾いて張り付きそうになった喉に滲みる。
 そうしてごくごくと黒いビールを飲みながら店内を見回すと、女性の店員がいち、にい、さん、しい、ご、5人。しかも5人全員がすぐにでもモデルや女優になれそうなくらいかわいい。顔の造作だけじゃない。お洒落だし、化粧も巧い。これが東京じゃなくてソウルなら、半分は整形なんだけどね、なんて考えながら無意識のうちに彼女たちの中の1人を凝視してしまったようで、視線を投げ返された。やっぱり美人だなあ。
 彼女たちの恋人はどういう男なんだろうとつい考えてしまい、映画『パリ・テキサス』を思い出した。私の大好きな映画。たぶん、生涯一番好きな映画であり続けるだろう作品。もしも私が男で、彼女たちのように可愛らしい恋人がいたならきっと、この映画の主人公トラヴィスのように恋人をストーブに縛り付けたり、寝るときには脚に鈴をつけたりしたいと思うんじゃないだろうか・・・
 たった1杯のビールで酔って、妙な思考に陥ってしまった。それくらい、コンクリートに囲まれた東京は暑かった。
Concrete Jungle/THE SPECIALS