ブログタイトルの事

 タイトルはいとも簡単に決まった。最初から既存の題名にしようと思っていたのは、内容が定まっていなかったせいだった。大学生の時分、規模が小さくとも「論文」とされるものならば必ず、本文を書くより先に題目を決定して提出することを強いられたが、それが私には少し苦痛に感じられたものだ。自分の考えが常に、思春期の恋心と同じくらい、流動的に変化しうるものだと知っていたからである。
 だから私は自分の言葉で名づけることをやめた。映画か、音楽か、文学か、そういったものの中から何かしら、自分がなるべく好きでい続けられるものを選ぼうと思った。そしてその時点で英語である、というのも自動的に決まった。なぜなら日本語は「通じ過ぎる」分、意味が限定されてしまいそうだし(これは前述のことと同じ理由で回避されるべきである)、フランス語は気取った印象を与えかねないし、他の言語では誰にも通じない危険性がある、というわけである。ちなみに文字にするとこれだけの分量になるが、実際ここまで考えるのに要した時間は1分足らずであったことも記しておく。直感より少し遅いぐらいのイメージ。
 そして私はすぐ、その曲名も曲そのものも全くの普遍性を持った、“Sit Alone”の名を拝借することに決めた。
 日本で「ラスティック」と呼ばれるジャンルに分類される中ではおそらく、世界で最も素晴らしいバンドであろうLOS CARAYOSの2ndアルバムに収録された、大変美しい曲の名。
 こうして私は夜な夜な机の前に座り、誰にともなく言葉を発するのである。独りで。

Carayos / Au Prix Ou Sont Les Courges

Carayos / Au Prix Ou Sont Les Courges