Lost in La Mancha
- 出版社/メーカー: 東北新社
- 発売日: 2004/02/27
- メディア: DVD
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レンタルビデオ店でよく、映画のメイキングDVDを見かける。公開前やDVD化前の作品のメイキングなら、かなりの確率で全部貸し出し中になっている。こんなもの観て面白いもんかね?と訝っていたというか面白くないに決まってるぐらいに思っていたのだけど、『Dr.パルナサスの鏡』の余韻から、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』を借りてしまった。
これは厳密にはメイキングフィルムではないかもしれない。ただの悲しいドキュメンタリーだ。この映画の中でつくっている映画『ドン・キホーテを殺した男』は出来上がらなかったし、作品中も制作現場というよりは、ありとあらゆる事情で制作が「できない」現場ばかりが映されているからである。想像の通り、映画としては大して面白くないが、本当に呪われているとしか思えないほどのトラブル続出っぷりはたしかに映画になるほどの劇的さなのだ。
しかしこの映画の存在意義は、やはり、この映画が完成すれば素晴らしいものになっただろうなあ!と観客に思わせることだろう。おそらくこのヴァージョンの『ドン・キホーテを殺した男』はいつまで待っても出来上がらない。だから私たちは本作中に少し出てくる「本編」映像から完成品に対する想像を膨らませる。そして、それに近い映画や、それを超える映画に出会う日を夢見て待つ。すごい、ただの失敗の記録なのに、誰かに生きる希望を与えることができるこの映画はすごい。