Mon Meilleur Ami

ぼくの大切なともだち (完全受注5,000本限定生産) [DVD]

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パトリス・ルコント監督『ぼくの大切なともだち

 フランソワは、自分の誕生日のディナーに集まった全員から「お前の葬式には誰も来ない」と言われ、ショックを受ける。そして反論するうちに、「10日以内に親友を連れてくる」という賭けをする事に。早速、友人たちにコンタクトを取るフランソワだが、そこで誰も彼を親友だとは思っていない事を思い知る。そんな時、タクシー運転手ブリュノの親しみやすさを目にしたフランソワは、彼から人と仲良くなるコツを学ぶ事にするが…。
 というあらすじを読んだ時点で、フランソワとブリュノが親友になるという結末は誰もが予測できます。そうなるとそこにたどり着くまでのプロセスが重要なわけですが、さすが名匠ルコント、素晴らしいバランスで物語を組み上げて行ってくれています。必要十分条件で過不足なし!
 私が彼の映画を好きな理由のひとつに、「尺が短い」ということがあります。この作品も94分と飽きない短さながら、フランソワとブリュノがこれまでどんな人生を歩んできたのか、観る者にじんわりと伝わり、それによって結末を心温まるものと感じることができるように思います。情報を詰め込まずにたくさんの内容を伝える脚本、生意気なことを言えば、最近減っているような気がするんですよね。特に日本映画では。
 クライマックスは結構ドラマチックだと思いますが、ルコントの他の作品のようなファンタジックな雰囲気はなく、あくまで現実に起こりうるギリギリのラインに沿っているように私には思われ、そのリアリティのスレスレさ加減が巧妙だと感嘆しました。だから単純なストーリーなのに退屈じゃないのね。
 初対面の人とどういう風に接したらいいかわからない、友達づきあいが難しくて疲れちゃう、という人は現代の日本人ならおそらくマジョリティじゃないでしょうか? もしかしたらこの映画は、誰よりも日本人が観てこそ共感する作品なのかもしれません。それに恋愛モノもファミリーモノも観たくないけど愛されてる気分を味わいたい、というような時(私は結構ありますが)にはうってつけです。

 

 サントラを担当しているラティライユというバンドも良さそうで気になる。解説に「パリ郊外はバルカン半島と地下道で繋がっていた!?」なんて書いてあるけどまさにそんな感じ。フランス人のやることっていちいちカッコよくて参るね。アナログは出てないっぽいな。参る。

ラティライユの冒険また冒険

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