The Fall

ザ・フォール/落下の王国 特別版 [DVD]

　ターセム監督『落下の王国』

　たしかこれは『赤い風船』を観に行ったときの予告編で知ったんだった。構想26年、撮影4年、ロケした世界遺産が13か所だったかしら？なんかとにかく凄そうだったけど、何よりも主人公アレクサンドリアを演じた少女が私の姉の幼少期にそっくりだった（本人も認めている。）のでこれは観なきゃなと思っていたのです。
　しかし失敗だったのは、DVDで観ちゃったこと・・・これは劇場で観ないと全然意味がないと思います。
　前述の通り壮大なスケールの映画ですから、冒頭からもう「THE 映像美」て感じの映像美がこれでもか！と襲いかかってくるのですが、人間とは怖いもので、1時間もすると目が慣れて飽きてきちゃうのです（とかいって私だけだったりして）。そこで重要になってくるのが物語なわけですが、そこが正直、イマイチ弱い。
　自分の利益のために少女を騙す傷心のスタントマン。彼のするつくり話。少女と男の関係性の変化とともに、お話の内容も変わってゆき、どちらもハッピーエンドに向かいます。その「嘘から出た真」的なプロセスに観客は共感し、勇気づけられるべきなのでしょうが、私は残念ながら素直にそういう気持ちにはなれませんでした。なぜなら、その少女と男の精神の邂逅があまり描かれていないために、その二人がある種の利害関係のままであるようにも見えてしまうからです。
　なので、ここで終っちゃうの？という物足りなさがありました。映像も音楽も美しかったのですごく勿体ない感じ。劇場で観ればまた違うかもしれませんが。ただ、分かりやすい内容なのでちょっとした時に気軽に観れる作品だと思います。ノットバッド。