El laberinto del fauno

パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

 映画って、というか何でもそうだけど、調子よく摂取できていないときは自分のアンテナの感度が鈍り、何をどのように観ていいかわからず、だったら大人しく感度が戻るのを待てばいいものをそれもこわくて「話題になったから」「賞獲ったから」というとりあえずの理由で観たくもない作品を観て勝手に失望する・・・ということが私にはしばしばあるのですが、この作品も運悪くそのタイミングに嵌ってしまいました。
 もともと私はスペイン語圏の映画ってちょっと苦手で(もちろん好きなのも幾つかありますが)、なぜならそれらの多くが容赦なく残酷で悲劇的に悲劇だからです。日本人はどちらかというと悲劇好きだと思いますが、それはあくまでも救いのある悲劇、たとえ主人公が死んでも観た者の心は美しさで満たされるような、そんな悲劇であるのに対し、スペインやメキシコの悲劇とは「そんなものは生ぬるい!」とでも言いたげな、痛々しい悲しみを与えるものが多いように思われるのです。
 本作『パンズ・ラビリンス』も私にとってはそんな風に感じられる作品で、結末もすごく辛かったです。とはいえ、絵画のように重たく分厚い質感を湛えた映像や、御伽話・神話・文学等々の引用やオマージュ、そしてスペイン内戦という事実などを盛り込んでいて映画として語るべきところは多く、お金を払って観る価値のある作品だと思いました。ただ、好きか嫌いかでいうと私は嫌いだというだけです・・・