MALA NOCHE

マラノーチェ [DVD]

　「面白い」とは言い難いけどいい映画だと思った。クリストファー・ペティットの『レディオ・オン』と映画的レベルとして何が違うのか明確に説明できないのだけど、でもそれよりもこの『マラノーチェ』の方がずっといいと思える。　
　粒子の粗いモノクロ映像はコントラストが強すぎて、黒は潰れ、闇夜に浮かぶ顔は半分ぐらいしか見えない。メキシコ人の長い睫毛が落とす陰は死相みたいだ。
　85年製の青春映画で恋愛映画でロードムービー。タイトルは‘MALA NOCHE(BAD NIGHT)’。
　『ストレンジャー・ザン・パラダイス』とかが好きな人は好きなんじゃないかな。私はガス・ヴァン・サントにそれ程興味ないけど、オムニバス映画『パリ、ジュテーム』の中では彼の作品がダントツによかったと思う。そしてそれは、彼の長編処女作『マラノーチェ』の希望的解釈だったのかも？とも思っている。
　ちょっとウォン・カーウァイ監督『ブエノスアイレス』を思い出した。ゲイと夜と滝、報われない恋。