Little Miss Sunshine

 だいぶ前に観た『リトル・ミス・サンシャイン』でスティーヴ・カレルに興味を持ち、『40歳の童貞男』を借りてきて観たんだけれどもこれはイマイチだった。内容についてはタイトル通りで、テレビの深夜30分枠でやるドラマをちょっとグレードアップして2時間のコメディ映画に仕立てましたって感じかな、という予想を当然裏切ってくれるものと思い込んで(だって結構話題になったよね?この映画。)観たらなんら裏切らなかった、というのが私の感想。面白いところもあるけど、『リトル・ミス・サンシャイン』をもう一度観た方が有意義だったな。
 メガネでぽっちゃり体型の少女をミスコンに出場させるべく家族全員でカリフォルニアに向かう、その道中でそれぞれが人間的に成長し家族の絆を深める・・・という偽善的で説教臭い物語になるはずなのに、そうなっていないところがこの作品のすごいところだと思う。「がんばれば夢は叶う」なんて無責任なことは言わない、「ダメな奴でもいいじゃん、ハッピーなら。」なんて阿呆なことも言わない。なんにせよこの映画はそういう誰もが聞き飽きたメッセージの押し売りをしないし、それでいて心にじんと沁みるものがある。これは立派なロードムーヴィーで、それぞれの人物がよく描かれた人間ドラマです。ミュージックビデオを製作していた監督の長編第一作だというから本当に驚く。たしかに構図や色調など「映像」として素敵に見せる工夫があるだろうなとは思ったけれど、ミュージックビデオ的な雑味がなくて後味もいい。もう一回観ようかな。