Basquiat
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 1999/03/05
- メディア: DVD
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ジャン=ミシェル・バスキアという人物及び彼の作品について、私はほとんど知らない。だからこの作品を伝記としてではなく、ただの映画として観る。そのときにこの作品が良いかどうかというのは、即ちオープニングタイトルに『ニューヨークの夢』を使うのがアリかナシか?ということになると思う。つまり、あの感動的な名曲が映画音楽に徹することができるほど、この作品における人物の描写が豊かだと感じられるかどうか、ということである。
ジュリアン・シュナーベル監督の新作『潜水服は蝶の夢を見る』では、苛酷な運命を背負った主人公の晩年を劇的なものにはせず、むしろ淡々と描いた。そこが良かった。しかし彼の第一回監督作品であるこの『バスキア』はむしろ淡々としすぎているように感じられ、そしてそれはストーリーの構成によるものではなく、人物の内面の表現が、薄弱である為なのではないかと思われるのである。
だから私は、この映画が『ニューヨークの夢』で始まるのは少しアンバランスで、少し滑稽だと思う。アンディ・ウォーホルをデヴィッド・ボウイが演じるのも、滑稽。外見は本当にそっくりなのだけど、だからこそ。もっとも、'80sのニューヨークという場所と現象そのものが滑稽なものだったかもしれないから、それこそが本物なのかもしれないけれど。
実在の登場人物たちについての知識が無くても十分に面白い、いい映画。だけど哀愁が好物の日本人には、少し物足りないんだ。