Tim Burton's Corpse Bride

ティム・バートンのコープスブライド 特別版 [DVD]

ティム・バートンのコープスブライド 特別版 [DVD]

 死者、異性人、奇形、禁断の恋、ブラックユーモア・・・そんなものを描かせたらティム・バートンは最高なのだけれど、今作はその彼の良さが凝縮されていると思う。彼を追い出してくれたディズニーに感謝。ディズニー映画も勿論素敵なのだけど、そこにある正義や純真さはどうしても少し、嘘臭い。そしてバートンの作品にそういった嘘臭さは、無い。

 死後の世界が楽しくて何が悪い。死者が生者に恋して何が悪い。彼の映画は一見してサイコでクリーピーなのだが、とびきりポップで、許容と思いやりに溢れてる。そして愛も。

 猫も杓子もCGの時代において、すべて手作りしてしまう変態的な職人性も、彼の重要な価値のひとつだ。終盤でブライドのベールがたなびく場面。あれもCG処理ではなくワイヤーを使っているということだから、CGで荒稼ぎしようとしてる営利主義の映画制作者たちは、彼の作品を観て少し反省するといい。

 それから彼の長きにわたる相棒、ダニー・エルフマンの音楽も最高。彼、劇中のバンド“ボーン・ジャングルス”で見事なダミ声スウィングを聴かせてくれるけれど、まさか歌まで歌えるとは。

 天才で変態。大好きです。