町田康『告白』
使うカテゴリーをある程度確定したいのと、自己反省のつもりでまたもやmixiに書いたレビューを。
映画のレビューよりも本の方が短くまとめられる傾向にあることが分かった。
何事もスマートにしたいものです。
- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/03/25
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 191回
- この商品を含むブログ (275件) を見る
しかしこの作品はちっとも爽快でない。676頁に集約された一人の男の人生。それは生と死そのものの真実。それは私の人生でもある。だから読むにつれ辛かった。生きるということはかくも苦しく、寂しいものなのか。
彼の紡ぐ文章は一見エキセントリックだが、その実は普遍性に満ち溢れている。彼の鋭利な言葉は読む者の胸を貫き、尋常でない痛みを惹き起こすが、その傷による血液の温かさは、同時に安心をもたらすようにも思われる。
生と死、愛と憎、奇矯と普遍、嘘と真。それら全てを読みつくして、もう涙しか出ない。