Dr. Seuss' How the Grinch Stole Christmas!

ロン・ハワード監督『グリンチ

グリンチ [DVD]

グリンチ [DVD]


 この監督知らないなと思ったらどうりで、私の興味の範囲外にある作品ばかり撮ってらっしゃる。『ダ・ヴィンチ・コード』は正直どうだったんでしょうか?私は言わずもがな未見です。

 で、2000年公開のこの作品、以前テレビで観たことがあるので今回は2度目。前に観たときはヘアメイクや美術などの可愛らしさに心躍っただけで、それほどいい作品とは思っていませんでした。ジム・キャリーもあんまり好きじゃなかったし(今では大好きな俳優の一人です)。しかし実はなかなか深い内容であることにこのたび気づいてしまったのであります。

 一人だけ緑色で毛深くて変ってるからイジメられていたグリンチ。小学生の頃のある事件により、彼はクリスマスとクリスマスを何よりも愛する街の人々を憎んで恨みながら、山で孤独に生活しています。しかし、一人の心優しい少女の尽力により、偏屈になってしまっていた彼は善人に生まれ変わり、街の人々に温かく迎えられる・・・というストーリーは普通の子供向け絵本の内容と言えます。でも何故だろう、この映画はそれ以上。
 グリンチが奇異な風貌をしているのはなんでかなあ?と思うんですよ。なぜなら、見た目や先天的な特徴による差別はやめよう!なんて薄っぺらいメッセージはこの物語においてちっとも重要ではないので。たぶん、分かりやすくするためなのでしょう。本作はもっとこう、「徳の高さとは何か?」ぐらいの複雑なテーマがあるのです。悪い奴ほど偉くなる社会への批判と、何といっても消費社会への疑問の投げかけですね。グリンチが皆に向かって「お前らのいらなくなったプレゼントや包装紙は全部ゴミになって俺の住む山に来る!」と訴えるところなんか圧巻です。これがちっとも説教くさくないのはジム・キャリーの手腕だとも思います。

 「エコ」とか言い始めてなんかおかしくなったけど、結局学ぶべきことって児童向けの本とか簡単で普遍的なところにあるのだなあと。主人公の女の子がとっても可愛く、お父さんがいかにもアメリカのお父さんて感じでいいキャラ!