上野公園


 昨日。午後から芝居を見るため上京。上野に10時すぎに着いたので時間はたっぷりあったが、体力の無い私にとって買い物はスポーツ、第一こんな日にカネの臭いは嗅ぎたくないのさ。上野公園でのんびり過ごすことにした。あいにくの雨だけど修学旅行の中学生は元気。修学旅行、私服なんだね。革ジャン着た外国人が寒さに震えている横で、カメラオタクみたいな先生がシャツ一枚で生徒の写真を撮るのに奔走。寒さ忘れちゃってる感じがいい。
 ウルビーノのヴィーナスは混んでいるに違いないので、都美術館でパリ100年展http://www.tbs.co.jp/event/paris.htmlを見た。門入った正面で野良猫が毛づくろいしていて、ちっとも逃げないからしばらく見てたら猫、まっすぐ私を見て「にゃあ。」と言った。それこそ“Can I help you?”みたいな具合に。
 展示は地下〜2階までの3フロアーに渡っていて、見終えるのにうっかり2時間近くもかかってしまった。宣伝ではセザンヌルノワールを売りにしてるっぽいけど、彼らの作品は数もそんなにないし、比較的地味なものだったと思う。個人的にピンと来なかっただけかもしれないけど。私が一番心動かされたのはアルベール・マルケ『雪のノートル=ダム大聖堂』。「地味」という点でいったらこれこそ一番地味だったけどw、でもなんだかじんわりと哀しくてよかった。ぶわっと泣き出すようなのじゃなくて、静かに喉の奥を暖めてくれるような、そういう性質のかなしさがあるような気がした。この絵のポストカードは無かったので、ガブリエル・ロッペのアリストタイプ写真『エッフェル塔の落雷』を購入。美術展の物販ではなるべく何も買わないようにしているので、私の中ではちょっとした珍事。ちなみにエッフェル塔をつくったエッフェルさんは建築家じゃなくて鉄骨技師だったんですって!芸術家じゃないのにあんなに美しいものつくっちゃうなんてカッコイイ。
 その後は国立西洋美術館のレストランで、どこまでがル・コルビュジェの直接的なアイデアなんだろう?なんてぼんやり建物見つめながら白ワインをお供に食事して、『地獄の門』の前ではしゃいでるアジア系の若者たちを後目に上野公園から退散。いい時間を過ごせたのは、雨なのが逆によかったからだな。今度はカメラ持ってゆっくり散歩でもしてみたい。