Les Wampas

minii2007-11-29

  • Les Wampas“Tutti Frutti”LP('86)

 すごく久しぶりにWampasを聴いてシビれていた。比喩じゃなくて文字通り痺れてて、眉間のあたりがクラクラするから目をぎゅっと閉じていたんだ。その痺れはA面の1曲目“sha la la”のイントロから既に始まって、つまり、音楽はズブの素人の私にとってそのバンドは、ヴォーカルでもなければギターでもない、もはやメロディですらない、ただただウッドベースに尽きる!そう言い切れるものだということだ。
 私は部屋の寒さも相俟って、ターンテーブルの前に正座をし、時々感じ入ったようにうんうん頷いてはヘッドホンに集中するという、傍から見たら何時ぞや一世を風靡したウォークマンのCMの猿のような感じになって、その音を噛み締めていた。すると・・・
 A面最後の曲“Trous”の真ん中あたりで「ぶつっ」という音を聴いた。音飛び?またまたぁ、と独りごちてから針を戻す。やはり同じ箇所で音が飛ぶ。血の気が引く私。音が飛ぶレコード。なんでよりによってこの曲で、と嘆く私。音が飛ぶレコード。5回ぐらい繰り返してようやく現実を受け入れた私。やはり音が飛ぶレコード。
 翌日確認すると、どういうわけかすっかり音飛びは消えうせており、私は狐につままれたような気持ちでそれを聴いた。このアルバムはサイコビリーの名盤だレア盤だといわれているがそんなことは実はどうでもよく、ただ溢れ出る音という名の振動が体を伝うことを「好し」とするに足る以上の、極めて上質な音がある、というところこそが稀有だと思う。それに加えて前述の“Trous”という泣きメロでおーおーコーラスの素晴らしい楽曲があるんだからそりゃ、大枚もはたくさ。