IRON HORSEMEN

 私はこの映画のレビューを2007年7月7日にmixiに書いたことになっているんだけど、さっき確認した段階では全部で7件しかレビューの無かった不人気映画。まあ確かに私ももう一度観ようとは思わないけど、でも良い点を発見できる人がいるといいなあとは思う。故・淀川長冶氏は言った、すべての映画には見所がある、と。だから最初のレビューを加筆修正ナシでここにも載せて皆様にご紹介することにする。

 映画のクレジットで「製作」とあればそれは「出資者」と解釈するのが賢明である。この作品もご多分に漏れず、アキ・カウリスマキが「製作」に名を連ねているが、きちんと無名監督のB級映画に仕上がっている。
 にもかかわらず無視できないのは何故か。アキが出演しているという説得力か。ジャームッシュがカッコイイからか。それらの理由に加えられるのは、この作品が妙に「ひねくれている」ということだと思う。
 ドラッグ映画にしては幻覚が陳腐だし、トラッシュメン等のサーフ〜ガレージ音楽を使っているが、ロック映画と呼ぶほどでもない。言葉の意味をそのまま捉えるならロードムーヴィーと言えるが、ニュアンスはどちらかというと「珍道中」のがしっくり来る。
 要は、「カッコイイだけで内容が無い」映画であるべきなのに、「カッコ悪くて内容が無い」のである。そしてそれがちっとも憎めないのである。
 邦題はもちろん『レニングラードカウボーイズ、モーゼに会う』のパロディ。人称形が合ってないのはご愛嬌。他にも色んな映画のパロディが満載らしいが、余程の映画好きかジム・ジャームッシュのファンでない限り、純粋に面白いとは言い難い変てこな映画。